左官とは、建物の壁や床、土塀などを、「こて」を使って塗り仕上げる職種のことです。
語源は、平安時代において、宮中の土木工事部門へ属(さかん)し、出入りが許可されていたことにあります。日本古来の家屋の壁は、竹などを格子状に編んだ小舞下地の両面に、藁を混ぜた土を塗り重ねる土壁、消石灰・麻などの繊維・糊でつくった漆喰が用いられます。
土壁は飛鳥時代以前から存在し、世界最古の木造建築として広く知られる法隆寺にも見られます。
漆喰塗りは江戸期に技術が確立され、その意匠性、防火性、耐久性により様々な建築に用いられるようになりました。
明治以降に洋風建築が登場すると、レンガ、コンクリートにモルタルを塗って仕上げるようになり、日本建築以外にも左官職人の活躍の場が拡がりました。
その他、コンクリートの打ち込み、基礎工事、ブロック積みなど、壁塗りだけに止まらず左官業者の仕事内容も多様化していきました。
また、近年になり珪藻土等の天然素材を使用した壁が見直されると共に、手仕事による仕上げの多様性や味わいを持つ、左官仕上げの良さが再認識されてきてます。